tajimanomegane



五度調弦

すっかり書いたつもりでいたのですが、実は書いていなかったらしいので書いておきましょう。

五度調弦についてです。

コントラバスは基本的に高い方からGDAEの四度にチューニングしますが、
ヴァイオリン〜チェロまでのヴァイオリン属の弦楽器は五度にチューニングします。

で、楽器の響きや鳴りとしては、圧倒的に五度調弦の方が上です。
例えばJoel Quarringtonがそのいい例ですが、五度にチューニングしたほうが楽器は鳴るし、普通の四弦で五弦と同じ音域まで出せる。音の飛びも五度の方が優れている面があります。

僕は、実際、1-2年くらい、五度調弦でオケをやっていた時期がありました。
ベートヴェンの2番、3番、5番、
シューベルトの3番、
チャイコフスキーの1番、4番、5番、くるみ割り人形第二幕全部、
ラフマニノフのピアノコンチェルト2番、
ヴェルディのレクイエム、
カルミナ・ブラーナ
この辺は、五度調弦でやったことがあります。

弦は、スピロコアの五度調弦用のほか、オブリガートの五度調弦用、Gamutに注文して作ってもらったプレーンガットのセットを使いました。

それで、今はもう普通の四度調弦に戻しています。

なぜ、わざわざ性能的に劣る(?)四度に戻したかというと、やっぱり音色なんですよね。
四度に戻したきっかけはマーラーでした。
フィンガリング的に、アルペジオ的な動きと転調に対応できなかったのがあります。
しかし、それ以上に、五度のすっきりした響きが曲に合わなかったのです。

ベースの無骨な音、それでいて柔らかさのある音を出そうとすると、やはり四度のほうが「ベースらしい」音になるんですよね。
ヴァイオリンやチェロのような華やかさが欲しいなら、五度調弦の方がずっと簡単にそういう音が出ます。
でも、ベースらしい音じゃないんですよ。すっきりしすぎる。

19世紀のフランス、イタリアあたりでは、五度調弦のベースもそれなりにあったようですが、
たとえばボッテジーニは五度調弦に批判的でした。彼に言わせると、五度調弦では音が鋭くなりすぎ、フィンガリングが難しくなる、というのです。ボッテジーニクラスでも、です。それになにより、音色的な理由で退けているのが興味深いです。

これが少し時代が下って、イザイア・ビッレくらいになると、五度の方が音響的に優れているという意見になるのですが、ビッレからすると、五度はフィンガリングが難しすぎる、という理由で却下されます。

五度チューニングは、確かによく鳴るし、響きが良くなりますが、クラシック音楽の黄金期の作曲家たちの耳にしていたベースの音、シンフォニーの世界観に合うベースの音は、やっぱり四度(か、四度と三度の混合)チューニングなんです。

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# by tajimanomegane | 2018-01-11 02:11 | コントラバス・ガンバ | Trackback | Comments(0)

魂柱を動かしたらご用心

前回、魂柱について書いたとき、書き忘れていました。

魂柱を動かしたら、その位置がハマっているかどうかはしばらく様子を見ないとわからない、ということです。
少なくとも、二週間くらいでしょうか。

しばらく動かしていなかった魂柱を動かすと、動かした直後から2週間くらいはとても良い音がします。
魂柱を動かすと、9割以上の確率で、全体的な響きが一時的に向上します。
しかし、それが落ち着いてくると、だんだんと粗が見つかってきます。

なので、久しぶりに魂柱を調整したら、しばらく弾き込んで、「方向性」を見定めるのがおすすめです。
「動かして見たら、こっちの方向に動いた。その後、弾き込んでみたらこっちの方向に動いた。じゃあ、次に微調整するならあっちだな」という感じで。

しかも、一人で弾いている場合とアンサンブルのなかで弾いている場合には音の聞こえ方はだいぶ変わるので、できればいろんな状況で弾いてみると良いです。

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# by tajimanomegane | 2017-12-26 14:27 | コントラバス・ガンバ | Trackback | Comments(0)

魂柱の横方向のセッティングについて、今のところの考え

ここ何年か、いろいろ魂柱のセッティングを試していました。

最近、ようやく納得のいくセオリーが見つかってきたので、ご紹介します。


基本的な考えとして、魂柱の位置は、バスバーと駒との関係で決まります。

f0221876_23053489.gif

これはヴァイオリンの駒のモデルですが、バスバーと魂柱のラインは、駒脚の軸と一致します。
力のかかる経路を、ロスなくもっとも効率良く伝達するためですね。
これが基本の考え。
(もちろん、駒足、つまり足の裏の広さの内側〜外側のどこにセットするかは、職人さんによってすこし考えが違います。)

バイオリンの場合、弦によって加わる圧力を考えても、このラインはすっきりと通ります。
例えば、下の図だと、緑のラインが、一番張力の高いE線のラインにハマるわけです。
(もちろん、ざっくりとした話ですが)
f0221876_22583376.jpg
ところが。
コントラバスの場合、そう簡単にゆきません。

f0221876_23370049.jpg


この図のように、力のかかるラインが、ヴァイオリンに比べると少し内側に寄るんです。

だから、コントラバスの場合、魂柱は、完全にバスバーと対称の位置に立てるよりも、少し内側に入れた方が、ダイレクトな演奏感になるっぽいんですよね。

逆に、ヴァイオリンと同じセオリーで駒脚の軸に合わせた場合、軽く華やかに鳴らせるようにはなりますし、高音も弾きやすくはなりますが、低音がぼけるような印象があります。
(低音側の力点と魂柱の支点が離れるので、軽い力で動くようになりますが、最大のパワーは落ちるわけです)


今のところ、魂柱を少し内側にいれたセッティングの方が、しっかりした低音が出るので好きです。

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# by tajimanomegane | 2017-12-22 23:40 | コントラバス・ガンバ | Trackback | Comments(0)

オイドクサについての小ネタ

最近のベルリンフィルのガット弦使用率について書いてみたところですが、
エディクソン・ルイースも意外にガット弦は好きなようです。

広告なので差し引いて考えておくべきだし、
実際には彼はオケの中ではベルカント、ソロではスピロコアを使うことが多いように見えます。
(グナルス・ウパニトエクスもベルカントの方が多いし)

とはいえ、モダンオケの最先端で、再びガット弦が戻ってきたり、
そうでなくてもベルカントのような方向性の弦が好まれるようになっているというのは、なかなか示唆的です。

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# by tajimanomegane | 2017-09-26 22:46 | コントラバス・ガンバ | Trackback | Comments(0)

ガット弦についての雑感

上手い人ってそこらへんにいるんだなあと。


ガットにしてはすごくクリアだし、なんの弦を使っているのだろうとコメント欄を読んでいたら、
Aquilaなのだそうです。

思えば、Aquilaのプレーンガットは結構発音しやすいし、弓で弾きやすいキャラクターでした。
Gamutも似たキャラクターです。
ちなみに、一番弓で弾きづらいのは、あろうことかピラストロだと思います。

ついでに、プレーンガット各メーカーのキャラクターについては、

アルコで弾いた時、落ち着いたキャラクターが欲しいのなら、Aquila, Gamut, Lenzner, Pure Corde
まろやか系でパワーが欲しいなら、Toro、
サクサクしたガットっぽい子音がほしいならKathedrale、
ピチカートのポクポクっとした音が欲しいならPirastro

というあたりかと思います。
製作精度的なところも考えると、Aquila, Gamut, Kathedrale, Pirastroあたりが個人的には好きなところです。


ところで、最近話をしていて、えっ?と思ったのが、アクィラについてでした。
アクィラが倒産したという話を聞いたんですが、それは僕の知っている情報とは一致しなかったし、
何より、アクィラは生産を続けている。
たしかに、何年か前にBSE関係で、たしかイタリア政府が止めていたかなにかで、原材料が調達できなくなり、ガット弦の生産を止めていた時期はありましたが、その後、再開しました。

なんというか、情報っていうのは常にアップデートしなきゃいけないし、常に検証していかなきゃいけないなと思います。
このブログも、古い記事は(あまりにアレなやつを除き)基本的にそのまんま残していますが、
よく読まれている記事の中で、今とは考えの違うものもかなりあります。
鵜呑みにされると困るのです。


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# by tajimanomegane | 2017-09-25 15:20 | コントラバス・ガンバ | Trackback | Comments(4)


コントラバス、ガンバ、ロードバイクをがんばりたい文系大学院生のブログ
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